業種別ECECのミカタ マーケティング事業部

食品ECの始め方【食品表示法・冷凍冷蔵配送・許可申請】

食品ECの始め方【食品表示法・冷凍冷蔵配送・許可申請】

食品ECの始め方を、食品衛生法・食品表示法・HACCP・営業許可・営業届出・冷凍冷蔵配送・賞味期限管理の観点から解説。食品ネットショップ開業に必要な手順と実務チェックリストを紹介します。

食品ECは、一般的なネットショップ開業準備に加えて、取扱商品の加工・包装・保管・販売形態に応じた営業許可・営業届出の確認、食品表示情報の整備、温度帯別の物流設計まで、開業前に完了させる必要があります。

特に注意したいのは、「食品をネットで販売するだけなら、特別な手続きは不要」と一律に判断しないことです。自社で製造するのか、仕入れた商品を販売するのか、商品を小分け・包装するのか、冷蔵・冷凍で保管するのかによって、確認すべき食品衛生法上の対応や施設要件が変わります。

また、食品ECでは、商品ページ上の表示、実際の商品パッケージ、出荷時の賞味期限、配送中の温度管理、返品・返金や健康被害の問い合わせ対応まで、一連の運用を設計しなければなりません。

本記事では、食品 ネットショップ 開業を検討する企業に向けて、食品ECを始めるまでの標準的な手順を、許認可、食品表示、HACCP、冷凍冷蔵配送、賞味期限管理、クレーム対応の観点から解説します。

なお、営業許可・営業届出、施設基準、食品表示、HACCPに沿った衛生管理、配送サービスの対応温度帯・料金・補償条件は、商品形態や自治体、委託先によって異なります。実行時は、管轄保健所、消費者庁、厚生労働省、国税庁などの公式情報と、利用予定の物流会社の最新規約を確認してください。

食品ECを始める前に押さえる全体像|開業までの標準フロー

食品ECを始める前に押さえる全体像|開業までの標準フロー

食品ECの開業は、次の順番で進めると手戻りを抑えやすくなります。

  1. 商材と販売形態を決める
  2. 製造・仕入れ・保管・出荷の責任分界を決める
  3. 営業許可・営業届出・衛生管理の要否を確認する
  4. 食品表示情報を収集し、商品ごとの表示原稿を作成する
  5. 温度帯、倉庫、梱包、配送会社を設計する
  6. ECサイト、受注、在庫、決済、問い合わせ対応を整備する
  7. テスト注文とテスト出荷を行う
  8. 問題点を修正して本番開始する

販売ページや広告を先に作り始めると、後から表示内容や配送条件が変わり、商品ページの作り直しが発生する場合があります。先に商品仕様、表示、温度帯、配送可能エリア、出荷リードタイムを確定し、その情報をECサイトに反映する流れが基本です。

食品EC開業の手順表|担当者・目安期間・成果物

フェーズ
主な実施事項
主担当
関係部署・外部先
目安期間
主な成果物
1. 事業設計
商材、販売先、温度帯、出荷形態、収益性を決定
経営者・EC責任者
商品企画・製造・営業
要件により変動
事業計画、商品一覧、販売方針
2. 規制確認
許可・届出、衛生管理、表示要件を確認
品質保証・EC責任者
管轄保健所、製造委託先
要確認
法令対応リスト、申請計画
3. 物流設計
梱包、配送温度帯、出荷締切、返品基準を決定
物流責任者
3PL、配送会社、倉庫
要件により変動
物流仕様書、梱包テスト記録
4. 販売基盤構築
ECサイト、商品情報、決済、受注・在庫連携を整備
EC担当者
制作会社、OMS・WMS提供元
要件により変動
商品ページ、運用マニュアル
5. テスト・開業
テスト注文、出荷検証、CS訓練、改善
EC・物流・CS責任者
委託先各社
要件により変動
開業判定表、改善リスト

目安期間は、商品数、製造設備の有無、自治体への事前相談、外部委託の範囲によって大きく変わります。とくに営業許可が関係する場合は、施設確認や図面相談が必要になることがあるため、商品企画と並行して早めに保健所へ相談します。

何を・誰に・どの温度帯で売るかを決める

Step1:何を・誰に・どの温度帯で売るかを決める

食品ECで最初に決めるべきなのは、「常温・冷蔵・冷凍・生鮮のどれを扱うか」だけではありません。

重要なのは、次の工程を誰が担うかです。

  • 製造
  • 加工
  • 小分け
  • 包装
  • 保管
  • ピッキング
  • 梱包
  • 出荷
  • 配送
  • 問い合わせ対応
  • 返品・回収対応

同じ商品でも、自社工場で製造して自社倉庫から出荷する場合と、メーカーから購入者へ直送する場合では、確認範囲が異なります。自社が食品に触れる工程を増やすほど、衛生管理や施設要件、記録管理の検討が必要になります。

販売モデル別|食品ECで確認すべき実務ポイント

販売モデル
例
主な確認ポイント
つまずきやすい点
自社製造・自社出荷
菓子、惣菜、加工食品など
製造工程、施設、衛生管理、表示、出荷作業
製造要件とEC出荷作業を混同する
仕入販売・自社出荷
地方特産品、輸入食品、ギフト
仕入先表示情報、保管条件、ロット・期限管理
仕入先から最新の表示データを回収できない
メーカー・産地直送
生鮮品、産直品、冷凍品
出荷元の品質管理、配送日、CS分担
販売者と出荷者の責任分界が曖昧
3PL・フルフィルメント委託
多SKU食品、定期便
温度帯対応、在庫管理、同梱・ギフト対応
委託先の標準仕様と自社商品の要件が合わない
モール販売
食品モール、総合ECモール
モール規約、商品審査、表示、受注連携
モール内の表現制限を確認しないまま登録する

BtoC直販では、購入者が商品ページだけを見て購入を判断するため、表示情報と配送条件の分かりやすさが重要です。一方、BtoB卸売では、納品先ごとの締切、ケース単位、納品書、ロット、最低発注数量、請求条件などが運用上の論点になります。

商品企画時に決めるべき「食品ECの基本仕様」

商品ごとに、次の項目を一覧化します。

  • 商品名・規格
  • 食品区分
  • 常温・冷蔵・冷凍などの保存温度帯
  • 保管可能な温度範囲
  • 賞味期限または消費期限
  • 最低出荷可能残日数
  • 内容量・ケース入数
  • 原材料・添加物
  • アレルゲン情報
  • 原料原産地
  • 製造所・加工所
  • 出荷拠点
  • 配送可能エリア
  • 同梱可否
  • 返品・交換の可否
  • 破損・液漏れ・温度逸脱時の対応

ここで「同梱可否」を決めておくことが重要です。常温商品と冷凍商品を同じ注文で販売する場合、別梱包・別配送にするのか、冷凍便にまとめるのか、注文時に温度帯ごとの送料を加算するのかを決めなければなりません。

温度帯をまたぐ商品を増やすと、顧客の選択肢は広がる一方で、送料計算、在庫連携、出荷指示、配送伝票、問い合わせ対応が複雑になります。立ち上げ時は、温度帯と出荷拠点をできるだけ絞ることが、誤出荷や配送遅延の抑制につながります。

食品ECに必要な許可・届出を確認する

Step2:食品ECに必要な許可・届出を確認する

食品ECの許可申請を考える際は、「ネットショップを開設すること」ではなく、「どの場所で、どのような食品を、どのように取り扱うか」を基準に確認します。

食品衛生法では、営業内容に応じて営業許可や営業届出が必要となる場合があります。厚生労働省は営業許可申請や営業届出をオンラインで行える「食品衛生申請等システム」を案内していますが、申請内容や必要書類については管轄保健所への確認が必要です。 (mhlw.go.jp)

食品ECの「許可」と「届出」を分けて考える

食品ECで確認する手続きは、主に次の3つです。

  1. 営業許可が必要な営業
  2. 営業届出が必要な営業
  3. 許可・届出の対象外となる営業

ただし、実際の判断は商品、工程、施設、販売方法によって変わります。たとえば、包装済みの食品を仕入れて、そのまま販売するだけの場合と、自社で小分け・詰め替え・再包装する場合では、確認すべき内容が同じとは限りません。

「販売だけだから許可は不要」「冷凍食品だから必ず許可が必要」といった単純な判断は避け、工程を分解して保健所に相談します。

まず作成したい「食品取扱工程表」

保健所への相談前に、商品ごとの工程表を作成します。

工程
自社・委託先
食品に触れるか
温度帯
使用設備
確認事項
原材料の仕入れ
自社
あり
常温・冷蔵など
受入スペース
仕入先、納品状態、記録
製造・加熱
委託先
あり
商品による
製造設備
製造許可、衛生管理
小分け・計量
自社
あり
商品による
作業台、計量器
施設基準、交差汚染
包装・ラベル貼付
自社
あり
商品による
包装機器
表示内容、ロット管理
保管
3PL
場合による
常温・冷蔵・冷凍
倉庫・冷凍庫
温度記録、在庫管理
ピッキング・梱包
3PL
あり・なし
商品による
作業場
誤出荷、同梱ルール
配送
配送会社
原則なし
指定温度帯
車両・拠点
温度帯、時間指定、補償

この表を作ると、許可や届出の確認対象となる施設・事業者が見えやすくなります。

保健所に相談するときの確認項目

保健所へ相談する際は、以下の資料を準備します。

  • 商品サンプルまたは商品仕様書
  • 原材料一覧
  • 製造工程図
  • 包装・小分けの方法
  • 保存温度
  • 賞味期限・消費期限の設定方法
  • 保管場所の所在地
  • 出荷場所の所在地
  • 自社と委託先の作業分担
  • 施設の平面図
  • 使用する設備・器具の一覧
  • HACCPに沿った衛生管理の方法

相談時には、「食品を販売したい」ではなく、「A商品を委託製造し、自社倉庫で冷蔵保管し、ラベルを貼付して個別出荷する」と具体的に伝えます。工程が曖昧なままだと、必要な手続きの判断も曖昧になりやすいためです。

注意が必要な食品・販売形態

次のような商品は、一般的な加工食品の販売よりも確認項目が増えやすい傾向があります。

  • 惣菜・弁当
  • 生菓子
  • 生食用の魚介類
  • 食肉・食肉加工品
  • 乳製品
  • 冷凍食品
  • 輸入食品
  • 健康食品
  • 機能性表示食品
  • 酒類
  • アレルゲンを含む食品
  • 医薬品・医薬部外品に近い表現を使う商品

酒類をインターネットで継続的に販売する場合、酒類販売業免許が必要となることがあります。広域で通信販売を行う場合は、通信販売酒類小売業免許の確認が必要です。国税庁は、通信販売酒類小売業免許の申請手引や販売管理に関する情報を公開しています。 (nta.go.jp)

食品衛生法とHACCPに沿った衛生管理を整える

Step3:食品衛生法とHACCPに沿った衛生管理を整える

食品ECでは、製造業者だけでなく、保管・小分け・出荷に関わる事業者も、自社の業務範囲に応じて衛生管理を設計する必要があります。

厚生労働省は、原則としてすべての食品等事業者を対象に、HACCPに沿った衛生管理への取り組みを求めています。衛生管理計画の作成、従業員への周知、手順書の整備、実施記録、定期的な見直しなどが基本です。 (mhlw.go.jp)

小規模事業者については、業界団体が作成し、厚生労働省が内容を確認した手引書を参考に、「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理」を行う枠組みが示されています。 (mhlw.go.jp)

EC出荷業務で整備したい衛生管理項目

製造を行わない販売事業者でも、次の項目は社内ルールにしておくと運用しやすくなります。

  • 作業者の健康状態確認
  • 手洗い・手袋・作業着のルール
  • 作業場の清掃・消毒
  • 冷蔵庫・冷凍庫の温度確認
  • 食品と資材の保管区分
  • 開封済み商品の扱い
  • 破損・液漏れ商品の隔離
  • 先入れ先出し
  • 賞味期限・消費期限の確認
  • ロット番号の記録
  • 誤出荷防止
  • 異物混入時の報告
  • 温度逸脱時の判断
  • 回収・廃棄の手順
  • 委託先からの報告受領

衛生管理は「担当者の経験」に依存させず、誰が作業しても同じ判断になるようにします。

温度記録は「測る」だけでなく「判定する」

冷蔵庫の温度を毎日測定していても、基準から外れたときの対応が決まっていなければ、管理として不十分です。

最低限、次の項目を決めます。

  • 測定する場所
  • 測定する時間
  • 使用する温度計
  • 許容範囲
  • 異常時の報告先
  • 商品を出荷停止にする条件
  • 商品の廃棄・検査・再判定の担当者
  • 記録の保存方法

たとえば、冷凍庫の温度が基準外になった場合に、庫内温度だけでなく、商品の中心温度、異常が発生した時間、扉の開閉状況、停電の有無などを確認する運用を設けます。基準値や再出荷の可否は、商品特性や製造者の指示、保健所・品質保証部門の判断に基づいて設定します。

食品表示法に対応した商品情報を整備する

Step4:食品表示法に対応した商品情報を整備する

食品ECでは、実物の商品に表示された情報だけでなく、商品ページにも購入判断に必要な情報を分かりやすく掲載することが重要です。

消費者庁は、加工食品、生鮮食品、添加物などについて、食品表示法に基づく表示ルールを案内しています。加工食品の容器包装では、名称、原材料名、添加物、内容量、期限表示、保存方法、製造者など、商品区分に応じた表示が必要になります。 (caa.go.jp)

商品ページに掲載する食品表示情報

商品ページでは、少なくとも次の項目を管理します。

項目
掲載・管理のポイント
名称
商品名だけでなく、表示上の名称を確認する
原材料名
原材料の使用順、添加物の表示を確認する
アレルゲン
特定原材料等の情報を最新化する
内容量
個数、重量、容量、セット内容を明記する
期限表示
賞味期限または消費期限の区分を明確にする
保存方法
常温、冷蔵、冷凍などを明記する
原料原産地
対象商品か確認し、仕入先から情報を取得する
製造者・販売者
役割と所在地を確認する
栄養成分
表示対象や計算・分析根拠を確認する
加熱方法
加熱が必要な商品は調理方法を明記する
配送条件
温度帯、出荷日、受け取り方法を明記する

消費者庁のインターネット販売向けガイドブックでは、商品ページ上に食品表示情報をまとめて掲載する枠を設け、名称、原材料名、アレルゲン、内容量、期限、保存方法、原産地、製造者、栄養成分などを整理して示す方法が紹介されています。 (caa.go.jp)

商品ページとパッケージ表示を分けて管理しない

よくある失敗は、EC担当者が商品ページを作り、品質保証担当者がパッケージ表示を作り、それぞれが別のファイルで管理することです。

この状態では、次のような不一致が発生します。

  • ECページでは「冷蔵保存」、商品ラベルでは「要冷凍」
  • ECページでは旧原材料、商品ラベルでは新原材料
  • ページにはアレルゲンの記載があるが、更新されていない
  • 内容量が商品リニューアル前のまま
  • 製造所変更後も旧情報が残る
  • セット商品の一部だけ表示が異なる

商品ごとに「食品表示マスタ」を作成し、商品ページ、パッケージ、同梱チラシ、広告、モール登録情報の原本として使います。

食品表示マスタの管理項目

  • 商品コード
  • 商品名
  • 規格・内容量
  • 表示上の名称
  • 原材料名
  • 添加物
  • アレルゲン
  • 原料原産地
  • 栄養成分
  • 保存方法
  • 期限表示区分
  • 賞味期限・消費期限の設定根拠
  • 製造者・加工者・販売者
  • 商品画像
  • ラベル校了日
  • 適用開始日
  • 仕入先・製造委託先
  • 変更履歴
  • 承認者

仕入れ販売の場合は、仕入先から表示内容を受領しただけで終わらせず、商品ページに反映した内容と照合します。リニューアルや原材料変更があった際に、仕入先から事前連絡を受けられる契約・運用にしておくことも重要です。

賞味期限・消費期限の管理方法を決める

Step5:賞味期限・消費期限の管理方法を決める

食品ECでは、注文を受けてから商品を出荷するまでに、商品がどれだけ期限を消費するかを考慮する必要があります。

賞味期限は、定められた保存方法を守った場合に、品質が十分に保たれる期限です。一方、消費期限は、定められた保存方法を守った場合に、安全に食べられる期限です。商品特性に応じた期限設定が必要であり、消費者庁は期限表示の設定に関するガイドラインを公開しています。 (caa.go.jp)

出荷時の最低残日数を設定する

商品ページに「賞味期限は商品によって異なります」とだけ記載すると、購入者の期待と実際の到着商品に差が生じることがあります。

そこで、社内では商品ごとに最低出荷可能残日数を設定します。

例:

  • 到着時に賞味期限が一定日数以上残る商品だけ出荷
  • 残日数が基準未満なら販売停止
  • セール商品は残日数を商品ページに明示
  • 定期便は出荷予定日と期限残日数を照合
  • ギフト商品は通常商品より厳しい基準を設定

具体的な日数は商品特性、配送日数、顧客の使用時期を踏まえて決めます。すべての商品に一律の残日数を設定するのではなく、常温・冷蔵・冷凍、開封後の保存性、ギフト用途などを考慮します。

期限管理の先入れ先出しとFEFO

食品在庫では、入荷順に出荷する先入れ先出しだけでなく、期限の近い商品から出荷するFEFO(First Expired, First Out)の考え方が有効です。

実務では次の運用を行います。

  1. 入荷時にロットと期限を登録する
  2. 保管場所にロットを表示する
  3. 受注時に出荷可能残日数を判定する
  4. 期限の近いロットを優先してピッキングする
  5. 出荷前に商品と期限を照合する
  6. 期限切れ・基準未満の商品を販売画面から除外する

SKU数が増える場合は、OMSやWMSにロット・期限管理機能があるかを確認します。ただし、システムが対応していても、入荷時の登録ミスや現場でのロット混在があれば正しく機能しません。システム導入前に、実際の入荷・保管・ピッキング手順を標準化します。

冷凍・冷蔵・常温の物流を設計する

Step6:冷凍・冷蔵・常温の物流を設計する

食品ECの物流では、配送会社を選ぶ前に、商品の温度管理要件を定義します。

確認すべきなのは、単に「クール便に対応しているか」ではありません。

  • 保管温度
  • 出荷時の商品温度
  • 梱包後の許容時間
  • 配送中の温度帯
  • 配達先で不在になった場合の扱い
  • 再配達時の温度管理
  • 破損・液漏れへの対応
  • 温度逸脱時の補償条件
  • 北海道・沖縄・離島への配送可否
  • 受取人不在時の返品・廃棄条件
  • 大口出荷・法人納品への対応
  • 年末年始や繁忙期の集荷制限

配送サービスの仕様や料金、対象サイズ、補償条件は変更される可能性があるため、契約前に各社の最新資料と約款を確認します。

温度帯別の物流要件

温度帯
主な商品例
保管・出荷時の確認
物流上の注意
常温
レトルト、缶詰、乾麺、菓子
高温多湿を避ける、直射日光を避ける
夏季の倉庫温度、結露、破損
冷蔵
生菓子、乳製品、惣菜、ハム
冷蔵庫の温度記録、出荷前の状態
消費期限、再配達、受取時間
冷凍
冷凍惣菜、冷凍魚介、アイス類
冷凍庫の温度、凍結状態
解凍・再凍結、ドライアイス、配送制限
生鮮
野菜、果物、鮮魚、食肉
入荷状態、出荷基準、個体差
鮮度、重量差、天候、欠品
混載
ギフトセット、複数温度帯商品
同梱可否、別送条件
送料、伝票、出荷漏れ、CS負荷

冷蔵・冷凍配送の梱包テスト

梱包資材は、カタログ上の保冷性能だけで判断しません。実際の商品を使い、想定する配送時間と環境でテストします。

テスト項目は次のとおりです。

  • 商品を規定量入れた状態
  • 夏季・冬季を想定した外気温
  • 配送中の振動
  • 箱の上下反転
  • 保冷剤・ドライアイスの配置
  • 商品と保冷剤の接触
  • 結露・液漏れ
  • 箱の圧縮
  • 受取遅延
  • 不在再配達
  • 開封時の商品温度・状態

テスト結果は、実施日、商品ロット、梱包資材、保冷剤の種類・数量、開始時刻、終了時刻、開封時の状態とともに記録します。

「冷凍便で送る」だけでは、商品が配送中に適切な状態で保たれることを意味しません。出荷前の凍結状態、梱包内部の隙間、保冷剤の量、配送リードタイムが商品に適しているかを検証することが必要です。

生鮮品は「配送日」より「出荷基準」を設ける

生鮮品は、重量、形状、色、傷、熟度などに個体差があります。そこで、出荷可否を担当者の感覚だけで判断しないよう、写真や基準表を用意します。

例:

  • 葉の変色が一定範囲を超えたら出荷不可
  • 魚体の傷や身崩れがある場合は代替品へ切り替える
  • 果物の熟度に応じて配送日を調整する
  • 天候や収穫量により欠品が発生した場合の代替ルールを決める

生鮮品では、完全な返品受付よりも、到着時の状態確認、写真送付、再送・返金・一部返金の条件を事前に定めておく方が、問い合わせ対応を標準化しやすくなります。

常温・冷蔵・冷凍の混載対応を決める

Step7:常温・冷蔵・冷凍の混載対応を決める

食品ECで混載を扱う場合、注文単位で次のいずれかを決めます。

  • 温度帯ごとに別配送する
  • 最も低い温度帯に合わせてまとめる
  • 常温商品を冷蔵・冷凍商品に同梱する
  • 顧客が同梱方法を選択する
  • 混載商品は販売対象外とする

混載方式の比較

方式
メリット
デメリット
向いているケース
温度帯別に別送
商品要件を守りやすい
送料・伝票・受取回数が増える
多温度帯の商品を幅広く扱う
冷凍便に集約
出荷判断が簡単
常温商品が品質・外観に影響する場合がある
冷凍可能なギフト商品
常温品のみ混載
送料を抑えやすい
冷蔵・冷凍商品には使えない
常温商品のセット販売
セット商品化
顧客に分かりやすい
商品構成の変更に弱い
定番ギフト、季節商品
商品ごとに配送選択
柔軟に対応できる
カート・送料設計が複雑
多様な販売条件を持つEC

注文画面では、以下を明記します。

  • 温度帯ごとに別送になる可能性
  • 配送会社が異なる可能性
  • 受取日が分かれる可能性
  • 送料が温度帯ごとに発生する可能性
  • 一部商品の欠品・遅延時の対応
  • ギフトの場合の納品書・明細の扱い

混載の設計を曖昧にしたまま販売を開始すると、「一つの箱で届くと思っていた」「冷凍品だけ届かない」「送料が注文後に増えた」といった問い合わせにつながります。

ECサイトと受注・出荷運用を整える

Step8:ECサイトと受注・出荷運用を整える

食品ECでは、ECサイトの機能だけでなく、受注から出荷までの業務フローを設計します。

最低限必要な受注情報

  • 注文番号
  • 購入者情報
  • 届け先情報
  • 商品コード
  • 商品名・規格
  • 数量
  • 温度帯
  • ロット・期限
  • 出荷予定日
  • 配送希望日
  • 配送時間帯
  • ギフト指定
  • のし・メッセージ
  • 同梱可否
  • 問い合わせ履歴
  • 返金・再送履歴

食品ECの受注処理フロー

  1. 注文を受け付ける
  2. 決済状態を確認する
  3. 配送先と配送可能エリアを確認する
  4. 温度帯と同梱条件を判定する
  5. 商品在庫と最低残日数を確認する
  6. 出荷予定日を確定する
  7. ピッキングリストを作成する
  8. 商品、数量、期限、配送伝票を照合する
  9. 梱包状態を確認する
  10. 出荷通知を送信する
  11. 配送状況を追跡する
  12. 未配達・持戻り・返品を確認する

ECサイトには、次の情報を商品ページと購入前画面で表示します。

  • 発送日
  • 到着予定日
  • 温度帯
  • 送料
  • 配送可能地域
  • 受け取りができない場合の扱い
  • 賞味期限の目安
  • 保存方法
  • 食べ方・加熱方法
  • 返品・交換条件
  • 商品に不備があった場合の連絡方法

食品は、通常のアパレルや雑貨と異なり、購入者都合の返品を受けても再販売できないことがあります。返品可否、再送条件、廃棄の判断、返金方法を利用規約とFAQに反映します。

広告・商品説明の表現を確認する

Step9:広告・商品説明の表現を確認する

食品ECでは、食品表示法だけでなく、景品表示法や健康増進法などに関わる表現にも注意が必要です。

とくに健康食品やサプリメント、機能性を訴求する食品では、次のような表現を広告・商品ページ・レビュー紹介・SNS投稿で使う際に確認が必要です。

  • 病気が治る
  • 血糖値を下げる
  • 免疫力を高める
  • 脂肪を燃焼する
  • 医師が推薦する
  • 絶対に安全
  • 無添加だから安心
  • 最高品質
  • 業界No.1
  • 口コミで話題

「商品ページだけでなく、広告文やバナーも表示の一部」と考え、公開前に品質保証、法務、薬機法・景品表示法に詳しい専門家などの確認を受けます。

また、「無添加」「不使用」などの表示は、何を使用していないのか、表示全体として誤認を招かないかを確認します。消費者庁は食品添加物の不使用表示に関するガイドラインも公開しています。 (caa.go.jp)

テスト注文・テスト出荷を実施する

Step10:テスト注文・テスト出荷を実施する

本番開始前には、実際の顧客を想定してテスト注文を行います。

テスト注文で確認する項目

確認領域
テスト項目
商品ページ
表示情報、画像、容量、保存方法、期限説明
カート
温度帯別送料、同梱可否、数量制限
決済
決済完了、キャンセル、返金処理
受注
OMS・在庫システムへの連携
出荷
ピッキング、期限確認、梱包、伝票
配送
配送指定、追跡番号、通知メール
CS
問い合わせ受付、返信テンプレート
ギフト
明細非同梱、のし、メッセージ
返品
不良品、温度逸脱、受取拒否
障害対応
欠品、遅延、決済エラー、連携停止

テストは、通常注文だけでなく、次の異常系も行います。

  • 冷蔵商品と冷凍商品の同時購入
  • 商品が欠品している場合
  • 配送先が対象外地域の場合
  • 希望日に届けられない場合
  • 賞味期限の残日数が基準未満の場合
  • 注文後に商品情報を変更した場合
  • 支払いは完了したが受注連携に失敗した場合
  • 配送途中で持ち戻りになった場合
  • 外箱が破損して到着した場合
  • 商品が解凍していた場合

食品ECで起こりやすいトラブルと予防策

食品ECで起こりやすいトラブルと予防策

食品ECのトラブルは、商品そのものの問題だけでなく、表示、配送、受注、顧客への説明不足が原因になることもあります。

トラブル別の予防策

トラブル
主な原因
予防策
発生時の初動
誤配送
住所転記、伝票貼り間違い
バーコード照合、ダブルチェック
配送停止・正しい商品を手配
賞味期限が短い
期限管理不足、先入れ先出し不徹底
最低残日数設定、FEFO
出荷停止、交換・返金判断
解凍・温度逸脱
梱包不足、遅延、再配達
梱包試験、配送条件確認
商品状態確認、出荷ロット特定
商品破損
箱の強度不足、緩衝材不足
落下・圧縮テスト
写真取得、再送・返金
アレルゲン表示ミス
原材料変更、マスタ更新漏れ
変更通知と承認フロー
販売停止、対象注文確認
異物混入
製造・包装時の管理不足
委託先監査、記録管理
現物保管、健康状態確認、報告
欠品
在庫連携遅延、販売予測ミス
販売上限、在庫引当
代替・キャンセル案内
受取拒否
日時不在、冷蔵品の長期持戻り
配送前通知、受取注意喚起
商品状態確認、再送可否判断
ギフト情報漏れ
納品書の誤同梱
ギフト用梱包フロー
回収・謝罪・補償判断
表示と実物の不一致
更新漏れ、複数マスタ
原本一元化、公開前承認
ページ停止、対象注文確認

クレーム対応の基本フロー

食品のクレームでは、最初の聞き取りが重要です。購入者に同じ説明を何度も求めないよう、問い合わせフォームや電話受付で確認項目を統一します。

  1. 申し出を受け付ける
  2. 体調不良の有無を確認する
  3. 商品を食べたか、残品があるか確認する
  4. 商品名、注文番号、購入日時を確認する
  5. 外装、ラベル、ロット、期限を確認する
  6. 到着日時、保管状態、開封状況を確認する
  7. 写真や現物の提供を依頼する
  8. 出荷記録、温度記録、同一ロットの注文を確認する
  9. 販売停止・出荷停止の要否を判断する
  10. 再送、返金、回収、行政相談の要否を判断する
  11. 原因と再発防止策を記録する

健康被害が疑われる場合は、通常の返金対応だけで終わらせてはいけません。体調や受診状況を確認し、社内の品質保証責任者へ即時報告します。必要に応じて、管轄保健所などへ相談してください。

食品表示法に基づく自主回収については、対象となる事案や報告手続きが定められています。販売履歴、ロット、購入者、出荷日時を追跡できる状態にしておくことが重要です。 (caa.go.jp)

食品ECの社内体制|最低限決める担当と責任範囲

食品ECの社内体制|最低限決める担当と責任範囲

食品ECは、EC担当者だけで立ち上げると、表示や衛生管理の確認が後回しになりやすくなります。

役割分担の例

役割
主な責任
経営者・事業責任者
事業方針、投資判断、リスク受容
EC責任者
販売チャネル、商品ページ、KPI、運用統括
品質保証担当
表示、衛生管理、委託先監査、事故対応
商品企画担当
商品仕様、価格、セット構成、原価
物流担当
保管、梱包、出荷、配送、在庫
CS担当
問い合わせ、返品、返金、クレーム
法務・管理部門
契約、利用規約、広告表現、個人情報
製造・仕入担当
原材料、製造工程、仕入先情報、変更連絡

少人数の企業では、一人が複数の役割を兼務しても構いません。ただし、表示の承認者、出荷停止を判断する人、健康被害発生時の連絡先は明確にしておきます。

委託先との契約で確認する項目

  • 製造許可・届出の状況
  • HACCPに沿った衛生管理
  • 商品規格書の提出
  • 原材料変更時の事前通知
  • アレルゲン情報の更新
  • 賞味期限の設定根拠
  • ロット管理方法
  • 温度記録の取得方法
  • 異物混入時の報告期限
  • 自主回収時の協力範囲
  • 商品事故時の費用負担
  • 返品・廃棄の方法
  • 顧客情報の取り扱い
  • 監査・現場確認の可否

「商品を納品してもらえば、あとは販売者の責任」と考えるのではなく、販売前に委託先の情報管理と事故対応能力を確認します。

翌営業日から使える食品EC開業チェックリスト

翌営業日から使える食品EC開業チェックリスト

事業設計

- [ ] 販売商品と食品区分を一覧化した
- [ ] BtoC、BtoB、モール、自社ECの販売チャネルを決めた
- [ ] 自社製造、仕入販売、メーカー直送の別を整理した
- [ ] 製造・小分け・包装・保管・出荷の担当を決めた
- [ ] 常温・冷蔵・冷凍の温度帯を商品ごとに設定した
- [ ] SKU数と出荷拠点を過度に増やしていない
- [ ] 同梱・別送のルールを決めた

許可・届出

- [ ] 商品ごとの製造・加工・包装工程を整理した
- [ ] 管轄保健所を確認した
- [ ] 営業許可の要否を相談した
- [ ] 営業届出の要否を確認した
- [ ] 施設基準・設備要件を確認した
- [ ] 委託先の許可・届出状況を確認した
- [ ] 酒類を扱う場合、酒類販売業免許を確認した
- [ ] 輸入食品を扱う場合、必要な手続きと表示を確認した

衛生管理

- [ ] 衛生管理計画を作成した
- [ ] 清掃・消毒手順を整備した
- [ ] 温度測定場所と頻度を決めた
- [ ] 温度逸脱時の対応を決めた
- [ ] 作業者の衛生ルールを周知した
- [ ] ロットと期限の記録方法を決めた
- [ ] 商品事故・回収時の連絡網を作成した
- [ ] 記録の保存場所と保存期間を決めた

食品表示

- [ ] 商品ごとの食品表示マスタを作成した
- [ ] 原材料・添加物情報を入手した
- [ ] アレルゲン情報を確認した
- [ ] 内容量・保存方法・期限表示を確認した
- [ ] 原料原産地の表示要否を確認した
- [ ] 製造者・加工者・販売者情報を確認した
- [ ] 商品ページとパッケージの表示を照合した
- [ ] 広告・バナー・SNSの表現を確認した
- [ ] 原材料変更時の更新フローを決めた

物流・出荷

- [ ] 温度帯別の保管場所を決めた
- [ ] 冷蔵・冷凍設備の温度記録方法を決めた
- [ ] 梱包資材を選定した
- [ ] 保冷剤・ドライアイスの使用量を決めた
- [ ] 梱包テストを実施した
- [ ] 配送可能エリアを確認した
- [ ] 送料と別送条件を設定した
- [ ] 最低出荷可能残日数を設定した
- [ ] FEFOまたは期限優先の出荷ルールを決めた
- [ ] 破損・温度逸脱・不在時の扱いを決めた

EC・CS

- [ ] 商品ページに保存方法と配送条件を掲載した
- [ ] 賞味期限・消費期限の説明を掲載した
- [ ] 返品・交換・返金条件を掲載した
- [ ] 注文確認メールの内容を確認した
- [ ] 出荷通知・配送追跡の仕組みを確認した
- [ ] 問い合わせテンプレートを作成した
- [ ] 健康被害の申し出を品質保証へ連携するルールを作った
- [ ] テスト注文を実施した
- [ ] 異常系のテストを実施した
- [ ] 開業判定会議で未解決事項を確認した

食品EC開業でよくある失敗と改善方法

食品EC開業でよくある失敗と改善方法

失敗1:商品ページを先に公開してしまう

商品ページを先に作ると、後から表示、送料、配送日、期限情報が変わり、修正漏れが起こります。

改善方法

  • 商品仕様を確定する
  • 表示マスタを作る
  • 品質保証担当が承認する
  • 配送条件を確定する
  • 商品ページへ反映する
  • テスト注文を行う
  • 公開する

失敗2:許可の要否をネットショップの有無だけで判断する

食品ECの許可・届出は、ネット販売という販売チャネルだけで決まるものではありません。製造、加工、小分け、包装、保管などの実態を基に確認します。

改善方法

商品の工程図を作り、各工程の実施場所と担当者を明確にしたうえで、保健所に相談します。

失敗3:商品ページに「冷蔵配送」としか書かない

冷蔵配送であることだけでなく、出荷日、到着目安、受取時の注意、不在時の扱い、保存方法を伝える必要があります。

改善方法

商品ページに「保存方法」「配送温度帯」「発送日」「賞味期限の目安」「受取後の保管方法」をまとめて掲載します。

失敗4:出荷現場に期限確認を任せている

担当者が目視で期限を確認するだけでは、繁忙期にミスが増えます。

改善方法

  • 商品コードとロットを管理する
  • 最低残日数をシステムまたは出荷表に表示する
  • ピッキングと検品を分ける
  • 基準未満の商品を販売停止にする
  • 定期的に棚卸しをする

失敗5:クレームをCSだけで処理する

異物、アレルゲン、体調不良、温度逸脱は、品質保証や経営者への即時連携が必要です。

改善方法

クレームを「通常問い合わせ」「品質問い合わせ」「健康被害の可能性」に分類し、緊急度ごとの連絡ルートを決めます。

よくある質問

よくある質問

食品ECを始めるだけで食品衛生法上の許可は必要ですか?

一律には判断できません。ネットで販売すること自体だけでなく、何を、どこで、どのように製造・加工・包装・保管するかによって、営業許可や営業届出の確認が必要です。

仕入れた包装済み食品をそのまま販売する場合と、自社で小分けや再包装を行う場合では、確認内容が異なる可能性があります。商品工程を整理し、営業場所を管轄する保健所へ相談してください。営業許可申請や営業届出は、厚生労働省の食品衛生申請等システムから手続きできる場合があります。 (mhlw.go.jp)

他社が製造した食品を仕入れて販売する場合も許可が必要ですか?

商品の仕入販売だけでなく、自社が行う保管、表示の貼付、小分け、詰め合わせ、再包装などを確認する必要があります。委託先が製造を担っていても、自社の出荷拠点で食品を取り扱う場合は、営業許可・届出や衛生管理の要否を確認します。

ECサイトに食品表示を掲載すれば、商品ラベルは不要ですか?

商品区分と販売形態に応じた容器包装への表示と、ECサイト上の情報提供は別に確認します。商品ページには、購入前に消費者が確認しやすい形で、名称、原材料、アレルゲン、内容量、期限、保存方法などを整理して掲載します。表示の詳細は消費者庁の食品表示基準やガイドブックを確認してください。 (caa.go.jp)

冷蔵商品と常温商品を同じ箱で送れますか?

商品特性と梱包方法によって判断が必要です。常温商品が冷蔵環境に置かれても問題ないか、結露や品質変化がないか、配送会社の規約に適合するかを確認します。

判断が難しい場合は、温度帯ごとに別梱包・別配送にする方が、商品品質と運用を管理しやすい場合があります。

賞味期限は何日残っていれば出荷できますか?

一律の基準はありません。商品特性、配送日数、保管条件、販売形態、顧客が使用するまでの期間を踏まえて、自社で最低出荷可能残日数を設定します。

期限表示は、食品の安全性や品質を客観的に評価したうえで設定する必要があります。消費者庁の期限表示に関するガイドラインを確認し、製造者や品質保証担当者と基準を決めてください。 (caa.go.jp)

HACCPは食品ECの販売事業者にも必要ですか?

原則として食品等事業者が対象となりますが、事業内容によって取り扱いが異なります。厚生労働省は、一般衛生管理やHACCPに沿った衛生管理、対象外となる営業の考え方、小規模事業者向けの手引書を案内しています。

自社が製造を行わない場合でも、保管、出荷、温度管理、期限管理など、自社の業務に応じた衛生管理を整備し、必要性を保健所に確認することが重要です。 (mhlw.go.jp)

食品ECでトラブルが発生した場合、まず何をすべきですか?

健康被害の有無、商品名、注文番号、ロット、期限、到着日時、保管状態を確認します。健康被害やアレルゲン表示の誤り、異物混入が疑われる場合は、通常の返金対応で終わらせず、販売停止、対象ロットの特定、品質保証部門や保健所への相談を検討します。

販売・出荷・仕入れの記録を保存し、同じロットの商品を購入した顧客を追跡できる状態にしておくことが重要です。

酒類も食品ECで販売できますか?

酒類を継続的にインターネット販売する場合、酒類販売業免許の確認が必要です。販売エリアや販売方法によって免許区分が異なるため、国税庁の情報を確認し、所轄税務署へ相談してください。 (nta.go.jp)

まとめ

まとめ

食品ECを始める際は、ECサイトを作ることから始めるのではなく、次の順番で準備することが重要です。

  1. 商品と販売形態を決める
  2. 製造・加工・小分け・包装・保管・出荷の工程を分解する
  3. 管轄保健所に営業許可・営業届出の要否を確認する
  4. HACCPに沿った衛生管理と温度管理を整える
  5. 食品表示マスタを作成し、商品ページと実物表示を一致させる
  6. 賞味期限・消費期限の設定根拠と最低出荷可能残日数を決める
  7. 常温・冷蔵・冷凍の物流と混載・別送ルールを決める
  8. 受注、在庫、出荷、CS、クレーム対応の責任分界を明確にする
  9. 通常注文だけでなく、欠品、温度逸脱、誤配送、健康被害などの異常系をテストする
  10. 未解決事項がないことを確認してから本番開始する

食品ECの成否は、集客や商品力だけでなく、表示、衛生、在庫、温度管理、配送、顧客対応を一つの業務プロセスとして設計できるかに左右されます。

食品 ネットショップ 開業を検討している企業は、まず商品ごとの工程表と食品表示マスタを作り、保健所、製造委託先、物流会社と確認すべき事項を洗い出しましょう。食品 EC 許可の判断や最新の表示基準、配送仕様は変更される可能性があるため、実行時点の公式情報と契約先の規約を必ず確認してください。

著者

ECのミカタ マーケティング事業部

ECのミカタ

ECのミカタ マーケティング事業部では、通販運用に10年以上携わってきたメンバーが、これまでに培った知見と現場での経験をもとに、EC・通販事業者の皆さまに役立つ情報を発信しています。集客・広告運用、CRM、商品ページ改善、物流、決済、リピート施策など、日々変化するEC市場の動向を捉えながら、実務に活かしやすい視点で分かりやすく解説します。事業者の皆さまが抱える課題や成長のヒントにつながるよう、一次情報や実践から得られた気づきを大切にし、信頼できる情報を継続的に更新してまいります。

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